福者ルドヴィカ・アルベルトーニ、神に召される至福の最期

「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
テーマは「死の淵をさまよう、神の花嫁の恍惚」

ルドヴィカ・アルベルトーニは、ローマの有名な貴族アルベルトーニ家に生まれた。幼くして父を亡くしたため、父方の伯母に養育され、そこで敬虔なキリスト教徒としての教育を受けた。彼女は修道女となって信仰に身を捧げたいと考えていたが、親族により結婚することになったが幸福ではなかったそうだ。

夫の死後彼女はようやく望みを叶え、フランチェスコ会に入会した。彼女は貧しい人々のために、自分の財産や健康を投げうって奉仕した。彼女はまた、宗教生活の中でたびたび法悦を体験し、奇跡を行う者として有名だった。


アルベルトーニ礼拝堂 Chapella Albertoni

「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」はジャン・ロレンツォ・ベルニーニによって制作された大理石彫刻。この作品はルドヴィカ・アルベルトーニの子孫で枢機卿のパルッツオ・アルベルトーニによって注文され、サン・フランチェスコ・ア・リーバ聖堂に設置されている。

聖堂の左の側廊の入口から4番目の礼拝堂に「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」がある。ベルニーニはこの礼拝堂の奥に祭壇を設け、その両脇に窓を切って光を採り、祭壇には自ら刻んだ横たわる福者の像とバチッチヨの「聖アンナと聖母子」の絵とを飾った。

身廊の方から見ると、この祭壇装飾は暗い礼拝堂の奥に、あたかもそこだけが神秘の光に包まれているかのように照り映えている。ことに大理石のルドヴィーカの像はやわらかな光を漂わせ、不思議なくらい神秘的に感じた。


サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会Chiesa di San Francesco a Ripa

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニは、時のローマ教皇に「ベルニーニはローマのために生まれ、ローマはベルニーニのためにある」とまで言わしめた人物です。17世紀のローマの街はこのベルニーニによって築きあげられたと言われるほど。今でもローマの街には至る所に彼が手掛けたモニュメントや広場が点在しています。

ベルニーニが得意としたのは、まるで物語のワンシーンを切り取ったかのような劇的な彫刻表現でした。そこで彼がこだわったのが、彫刻の陰影。劇的瞬間をより効果的に見せる為、ベルニーニは光と影を効果的に使いこなしました。より複雑により細かに彫ることで、陰影を生み出し、表面を酸で磨き上げることで大理石に光沢を与えてより強い光と影のコントラストを生み出したのです。

またベルニーニは自分の作品と鑑賞者が出会う空間をとても大切にしていました。その為に彫像が置かれる礼拝堂の壁を壊し、新たな部屋を作らせます。そこには、見る人を夢中にさせる為のある狙いがあったのです。ベルニーニが用意した様々な仕掛けを紐解きながら、彼の晩年の傑作をご紹介します。

「美の巨人たち」http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/100918/

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