カイユボット、モリゾ、マネ、ルノワール

ギュスターヴ・カイユボット Gustave Caillebotte
『床の鉋かけ』（１８７５年）

新居の床を削るために、鉋をかける三人の下層階級の労働者の姿。極端とも言える程の遠近法による場面展開や、自然主義的な現代性、幾何学的な画面構成などカイユボット独自の表現様式。

繊維業を営む裕福な事業家の息子としてパリで生まれ、ナポレオン3世による第二次帝政時代に上流階級層の高級住宅地として造成されたマルゼルブ大通りの邸宅で不自由なく育った。

法律学校を卒業した後、肖像画家レオン・ボナのアトリエに出入りするようになり、翌年パリ国立美術学校へ入学。ボナの友人であったエドガー・ドガを通じバティニョール派の画家らと知り合い、モネやルノワールなどを始めとした印象派の画家らとの交友を持つようになった。とりわけドガの作品から影響を受けたといわれる。

生涯裕福であったカイユボットは、収集家としても知られており、クロード・モネやルノワール、カミーユ・ピサロ、アルフレッド・シスレー、ポール・セザンヌなどの作品を購入することによって、経済的に彼らを支えたほか、印象派展の開催などでも意見調整や経済支援などをおこなったそうだ。

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ベルト・モリゾ　Berthe Morisot
『蝶々捕り』（１８７４年）

印象派の女流画家モリゾの代表的作品のひとつ。姉エドマの嫁ぎ先であるパリ近郊モンクールに赴き制作された本作は、姉エドマやその娘らブランシュ、ジャンヌをモデルに生茂る林の中での蝶々捕りの情景を描いた作品。

画面中央で網を手に持ち立つ姉エドマは、観る者と対峙するかのように真正面を向き、その傍らでは娘のブランシュとジャンヌが遊んでいる。

穏やかな夏のひと時の情景の中に描かれる、人物の物静かで寂然的な表情や佇まいに、ベルト・モリゾ特有の個性が顕著に示されている。また、姉エドマとその家族への深い愛情の念や複雑な心境を感じられる。

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エドゥアール・マネ Edouard Manet
『笛を吹く少年』（１８６６年）

印象派における先導的存在の画家マネの代表作のひとつ。ボナパルト朝フランス帝国衛兵に所属する鼓笛隊の横笛奏者をモデルとして描かれた人物画。

マネは日本の版画から、対象を正面から捉え描く平面的なアプローチ方法や、強く太い輪郭線を用いて対象と空間を隔離する斬新な表現手法を学んだといわれ、本作で取り入れている。

特に、少年が穿くズボン側部の一本の縦縞模様は、そのまま少年の輪郭も形成しており、また黒・白・赤・黄・茶、そして少年の肌色と非常に抑えられた本作の色数も、日本の版画から取り入れた重要な特徴であるそうだ。

http://www.salvastyle.com
サルヴァスタイル美術館
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ピエール＝オーギュスト・ルノワール Pierre-Augustê Renoir
『田舎のダンス』（１８８３年）

印象派の画家ルノワールが、光の効果を重んじ、形状の正確性を失った、純粋な印象主義に疑問を抱き始め、古典主義へと傾倒していった８０年代に制作された代表作「ダンス三部作」の一枚。画商デュラン＝リュエルの家の装飾用に制作された本作は、画家の友人であったポール・ロートと、しばしば画家のモデルとなり、後に妻ともなるアリーヌ・シャリゴをモデルに描かれた作品。

本作での喧騒的で活気に満ちた雰囲気や、如何にも楽しげな表情、アリーヌ・シャリゴが身に纏う垢抜けない衣服などは、気楽で田舎的ながら、どこか心を許してしまえるような安心感や幸福感を観る者に与える。ルノワールはこの頃、アリーヌ・シャリゴと、『都会のダンス』のモデルを務めたシュザンヌ・ヴァラドンの二人に心惹かれていたとされ、画家がそれぞれに感じていた人物像や抱いていた想いが表現されていると考えられているそうだ。

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※上述の記事はサルヴァスタイル美術館より引用させていただきました。http://www.salvastyle.com

※オルセー美術館にて鑑賞（2016年11月2日）